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AI とスタッフと「空白を埋める力」

2026.09.15公開

先日、AIを使って自分のご先祖様について調べてみました。
母にも尋ねると、驚くほど昔のことをよく覚えていました。愛媛県西条市の横黒が本家というところまでは分かったのですが、その先は戸籍などを調べないと無理でした。5代遡るくらい簡単だろうと思っていましたが、結構大変なのですね・・・。



AIと人間の「記憶」は違う

それをきっかけに、AIと人間の思考の違いを調べてみました。
人間は過去の経験を積み重ねて今を判断します。初めて見る動物でも、過去に見た猫と照らして「猫っぽい」と感じます。一方、AIは人間のように思い出を持っているわけではありません。今与えられた情報をもとに、膨大なデータから関連するものを拾い、秒単位で答えを作ります。AIと長く話していると「あれ、前に話したこと忘れてない?」と思うのはこのためです。面白いのが「情感」の違いです。

「春の桜」と聞けば、多くの人は自分が見た桜を思い浮かべます。入学式かもしれないし、家族と見た桜かもしれない。その時の気持ちまで蘇ります。AIにはそれがありません。情報がないため、「たぶんこうだろう」と推測して空白を埋めます。それが外れて、もっともらしい嘘になるのが「ハルシネーション」です。

つまりAIに仕事を頼むなら、「なるべく空白を作らないように指示すること」が大切です。ズボラな私は、つい「まあ、いい感じにやっておいて」と頼みます。なるほど、これではAIが困るのも当然です。



スタッフにも同じことをしていないか?

ここでAIを「スタッフ」に置き換えると、経営者の問題点が見えてきます。言葉足らずで指示する。結果を確認しない。そして「ありがとう」を忘れる。長く一緒に働いているスタッフほど、「菅代表なら、こうしておけば喜ぶだろう」と過去の経験から気を利かせ、こちらの空白を埋めてくれます。

これは経営者としては助かります。しかし「彼なら分かっているだろう」で確認しないと、重大なミスにつながります。野球で二人の野手がお互いにフライを譲り、真ん中にポトンと落ちるようなものです。

だから「ここだけは必ず確認する」というポイントをルールとして共有し、それを文化にする必要があります。ただ、この文化を最初に壊すのは、往々にして多忙な経営者本人です。スタッフには報告を求めるのに自分は返事をしない。確認を飛ばしておいて「なんでこんな結果になったんだ?」と怒りが募る。私自身、かなり自省が必要です・・・。



経営者は意外と何もできない!?

8月に休みがあったので、ふと、これまでを振り返ってみました。
父が他界した時、自分が病気をした時、それこそミスでお客様に損害が出た時。スタッフに助けてもらったことは数え切れません。

今ではむしろ、自分にできることの方が少ないくらいです。
スタッフが30人を超えれば、経営者が実務に与える影響は、せいぜい20%程度ではないでしょうか。残りの80%はスタッフが会社を動かしていると考えた方が良いでしょう。

ところが経営者は、次の売上、採用、投資、といつも前ばかり見ています。その結果、つい「ありがとう」を忘れてしまいます。



感謝は形に変える

私は、感謝は言葉だけでは足りないと思っています。できれば、お金やモノ、休暇など具体的な形にも変えた方が後にも残るからです。

それもあって当社には報奨金がやたらと多く、おそらく50種類以上あります。
「お金を出さないと動かない組織になる」と内外から指摘されたこともあります。しかし「お金を出せば動く組織の方が、動かない組織よりよほどマシ」だと思うのです。

もちろん、人はお金だけで動くわけではありません。ただ、成果や新しい負担に何も返さず、「やりがい」だけを求めるのも経営者側に都合が良過ぎると感じます。
特にスタッフに新しいことをお願いする時は、ご褒美もセットで考える。私の経験では、その方がうまくいくことが多かったと思います。
もっともAIに聞けば、「金銭的報酬だけでなく、内発的動機づけも重要です」と冷静に反論されそうですが(笑)。

AIについて調べていたはずが、結局たどり着いたのはスタッフとの付き合い方でした。

・指示する時は空白を作りすぎない。
・大切なところは確認する。
・そして最後に「ありがとう」を伝える。

特に最後が大事ですかねぇ。ちなみに課金型のAIに「ありがとう」と言うと、その分料金が高くなる場合があります。AIへの感謝だけは、ほどほどでいいのかもしれません。