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準備はほどほどに

2026.10.15公開

先日、元巨人の4番サード、中畑清さんにお会いしました。講演会には400名を超える方にお越しいただき、本当にありがとうございました。私は中畑さんの出た試合はほぼ全て見ていると思います。ご本人を前にすると、昔の記憶や当時の気持ちが次々によみがえりました。中畑さんからは「君は本当に筋金入りだな!」と、ファン認定され、野球少年に戻った感覚でした。

でも、もう一つ発見がありました。あれほどのスターでも、自分のことをずっと見て、覚えてくれている人がいると喜んでくださるのです。翻って、私はお客様のことを、どこまで本当に知っているだろうか? 試算表の数字ばかりを追いかけてしまいますが、その数字の裏でどんな苦労をされたのか?まで分かって初めて「見てくれている」と感じてもらえるのではないかと反省しきりでした。

さて、最近『人生は38歳までに差がつく』という本を読みました。53歳の私にはいささか遅いかもしれませんが、そんな私にも考えさせられるところがありましたのでご紹介します。

まず、30代は20代より失敗できないという事です。失敗を取り返すための時間は年齢とともに短くなり、仕事が大きくなるほど、失敗時にそれを取り返すためのコストが増えます。さらに50代になると、より「失敗したくない」 気持ちが強くなります。社員の生活を預かる以上、無謀な勝負は元よりできません。

しかし、社長が慎重になりすぎると、会社全体が必ず停滞します。そう考えると、経営者として旬なのは、経験がありながら、怖がらずに挑戦できる35歳から50歳くらいではないか。以前からそう思っています。では53歳の私はどうするのか。自分で旬が過ぎたと決めて、ベンチに座り続けるわけにもいきません。これからもできる範囲でチャレンジを続けなければと思っています。



準備はほどほどに

次に、完璧な準備などは無駄でしかないという事です。今はAIに聞けば、何でもかなりのところまで調べられます。便利ですが、調べるほど「もう少し確認してから」となり、動けなくなることがあります。新しいサービスを始めようとしても、競合、市場規模、採算、リスクと調べる項目は尽きません。
しかし、あまりにリサーチにこだわると、調べることが仕事になってしまい、時間だけが過ぎる。これでは何のための準備か分かりません。成功した経営者の話を聞くと、準備は3~5割程度で、とりあえず始めたという人が案外多いのですが、私も同じ感覚です。考え抜いて動かない会社より、まずやってみて、走りながら修正する会社のほうが伸びているのは間違いないです。

もし失敗しても、会社が倒れない範囲なら何度でもやり直せます。仮にプロジェクトの成功確率が3割だとしたら、7割は失敗します。しかし野球の打率と違うところは、失敗を経験することによって、失敗確率を5割、4割と下げることがビジネスでは可能です。



目標設定するのは古い

次に、アメリカの経営学では、目標を立てて、これを達成する思考はすでに古いとの事でした。目標を決め、計画を立て、実行する。経営ではおなじみの考え方です。ただ、実際には手持ちのもので手早く始め、全力を注ぐうちに思わぬ人と出会い、予定していなかった道が開くのが成功の王道であり、目標云々で計画的に勝負するのは古い理論で戦う・・・つまり、効率が悪いとの事です。

私も、会社を引き継いだ当時に想像した状態よりはるか上を行っています。「経営は目標より上に行くことはない」 というのは、なるほど「嘘」です。また、自分の能力や努力だけでは説明がつかない「偶然」や「運」による所が多分にあります。こう書くと経営の話としては頼りなく聞こえるかもしれませんが、お会いした多くの経営者が同じことを言います。であれば、運に出会うためにも、まず動くことが大事ではないかとよく思います。走っていると、何故かその時々で応援してくれる人と出会う・・・その繰り返しではないかと思うのです。

また、弊社の場合、数値目標設定やアクションプラン設定などは一応やりますが、当の私が10日も立てば大体忘れています。(苦笑)
大事なのは日々の思考、行動であり、紙に書く目標設定はそのくらいアバウトでよいのでは?と思いますが、甘いでしょうか?

さて、中畑さんに「君のファン度合いはすごい!」と言われた時は、子どもの頃、夢中になって応援した時間が報われたような気がしました。何が何十年後につながるか、本当に分かりませんね。ビジネスも目の前の仕事に熱中し、機会が来たら臆せずに打席に立つ。53歳、まだまだ現役です!