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【令和8年度税制改正】不動産による相続税対策はどう変わる?

2026.09.16公開

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

現行の相続税実務において、現金で財産を保有するよりも、アパートやマンションなどの不動産に組み替えることで相続税評価額を大きく下げる節税策が広く活用されてきました。

しかし、こうした市場価格(時価)と相続税評価額の乖離を利用した過度な節税策に対し、近年、国税庁は監視の目を強めています。令和8年度の税制改正大綱では、一定の「貸付用不動産」および「不動産小口化商品」の評価方法を厳格化する方針が打ち出されました。

適用は「令和9年1月1日以後の相続・贈与」からとなります。資産承継の計画を立てるうえで、この改正のポイントを正しく理解しておくことが不可欠です。

今回は、令和8年度税制改正における「不動産を利用した相続税対策」の見直しポイントと、今後の注意点についてわかりやすく解説します。

 

2.貸付用不動産の評価見直し〜「5年の壁」の登場〜

一つ目の大きな変更点は、アパートやマンションなどの「貸付用不動産」の評価見直しです。これまで貸付用不動産は、路線価や固定資産税評価額をベースに、借地権割合や賃貸割合などを加味して評価されるため、取得価額の半分程度まで評価が下がるケースが珍しくありませんでした。

しかし改正後は、相続や贈与の「課税時期前5年以内」に取得または新築した貸付用不動産については、原則として通常の取引価額(実務上は取得価額等の80%相当額等)で評価されることになります。つまり、「駆け込みで不動産を購入してすぐに相続・贈与する」という手法の節税効果が大きく制限されることになります。

一方で、取得から5年を超えて保有している実体のある貸付用不動産については、従来通りの路線価等による評価が認められる見通しであり、「長期的な資産運用としての賃貸経営」は引き続き有効です。

 

3.不動産小口化商品の評価見直し〜取得時期問わず時価評価へ〜

二つ目の変更点は、近年相続税対策として人気を集めていた「不動産小口化商品」への規制です。都心の優良物件を少額から共有持分として保有できるこの商品は、購入金額の1〜2割程度まで相続税評価額を圧縮できるケースもありました。

しかし今回の改正により、不動産小口化商品については「取得した時期にかかわらず」、事業者が示す適正な処分価格や買取価格など(実質的な時価)で評価されることになります。

貸付用不動産のように「5年経過すれば従来の評価に戻る」という特例がなく、より厳しい対応となっています。これにより、小口化商品を利用した相続税の圧縮効果は実質的に消滅すると考えられます。

 

4.今後の対策と実務上の留意点

今回の評価見直しは令和9年1月1日から適用されるため、「令和8年中に生前贈与を完了させれば、現行の有利な評価方法が適用可能」となります。特に不動産小口化商品をお持ちの方にとっては、年内の贈与が重要な選択肢となるでしょう。

ただし、単に年内に贈与すれば安心というわけではありません。借入金ごと贈与する「負担付贈与」になってしまうと原則として時価評価になってしまう点や、節税目的のみと見なされる極端な駆け込み贈与は「総則6項」によって否認されるリスク(税務署から独自に時価評価されるリスク)に十分留意する必要があります。

 

5.おわりに

ご自身の所有する不動産がどのような影響を受けるか、また年内の生前贈与を実行すべきかどうかのシミュレーションにつきましては、ぜひお早めに税理士法人アップパートナーズまでご相談ください。


澁田 俊介(所長・パートナー税理士)

登録番号 130036

主な担当先の業種: 医科・歯科クリニック/投資業
得意な分野: 一般税務/資産税/事業承継/組織再編

税理士法人アップパートナーズ
東京オフィス