福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
1.はじめに
令和8年度の税制改正において、インボイス制度に関する新たな負担軽減措置や、これまでの経過措置の見直しが国税庁より公表されました。特に個人事業主の皆様に関わる重要な変更点となりますので、大きく4つの要点にまとめてお知らせします。
2.個人事業者向けの「3割特例」の創設
インボイス発行事業者への登録を機に免税事業者から課税事業者となった「個人事業者」を対象に、消費税の納付税額を「売上税額の3割」とすることができる特例が設けられました。
【対象期間】
令和9年分および令和10年分の確定申告が対象です。
【適用要件】
基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であること等が条件となります。
【メリット】
仕入れに係る消費税額の実額計算や、インボイスの保存が不要となり、事務負担が大幅に軽減されます。
【注意点】
本特例は個人事業者専用の措置であり、法人は適用不可(一般課税または簡易課税のみ)となります。
3.簡易課税制度への円滑な移行措置
事前の届出が必要な「簡易課税制度」について、実務に配慮した移行しやすい特例が設けられました。
原則として、簡易課税を適用する課税期間の「初日の前日」までに届出書の提出が必要です。しかし、「2割特例」や「3割特例」の適用を受けた翌課税期間に簡易課税へ移行する場合に限り、その適用を受けようとする課税期間の「申告期限」までに提出すればよいこととされました。
4.免税事業者等からの仕入税額控除の経過措置(7・5・3割控除)
免税事業者など、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについて一定割合を控除できる経過措置の期限が延長され、段階的な割合が見直されました。
・令和8年9月30日まで: 80%控除可能
・令和8年10月1日〜令和10年9月30日まで: 70%控除可能(改正により新設)
・令和10年10月1日〜令和12年9月30日まで: 50%控除可能
・令和12年10月1日〜令和13年9月30日まで: 30%控除可能(改正により新設)
また、同一の免税事業者等からの課税仕入れが年間1億円(改正前は10億円)を超える場合、その超過した部分については本経過措置の対象外となりますのでご留意ください。
5.特定金属くず特例の創設
「金属盗対策法」の施行に伴い、特定金属くずの買い受けに関する特例が新設されました。同法上の届出を行っている事業者が、インボイス発行事業者以外の者から棚卸資産として特定金属くずを買い受ける場合、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められます。本特例は、令和8年9月1日以後に行う課税仕入れから適用されます。
6.おわりに
今回の改正により、免税事業者からの仕入れに関する控除割合の段階的引き下げ(70%・30%期間の新設)や、取引額の上限(1億円)が厳格化されるなど、日々の経理処理において細かな注意が必要となります。
ご不明な点などは税理士法人アップパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

