福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
1.はじめに
昨今の医療業界における人材確保は多くのクリニックで喫緊の課題となっています。他業界への人材流出を防ぎ、スタッフの定着を図る一手として設けられたのが「ベースアップ評価料」ですが、「計算が複雑そう」「外部に丸投げできないか」というお声も耳にします。
しかし実はこの制度、単なる診療報酬の算定ではなく「スタッフへの給与」に直結するため、外部への丸投げだけで完結させるのは難しい仕組みになっています。
今回は、本質的な考え方とスムーズに活用するためのポイントを整理してお伝えいたします。
2.制度の目的と今後の見通し
制度創設の背景には、一般企業との給与格差による医療従事者の離職への危機感があります。「もし制度が廃止されたら、給与の引き上げ分だけが負担として残るのでは?」とご不安に思われるかもしれません。
しかし私見ではありますが、これは国が医療という「部署」の給与バランスを調整するためにようやく設けた制度です。経営の視点に立てば、このコントロール機能は維持したいと考えるのが自然であり、本制度も長期的に継続していくものと想定しております。
3.実務の流れは「年末調整」のイメージで
本制度は「得た収入を全額スタッフへ還元する」のが大原則です。従来の「計画書」提出が廃止され手続きは簡略化されましたが、一連の流れは所得税の「年末調整」の仕組みをイメージしていただくと非常にシンプルです。
まず、レセコンで集計した評価料収入をベースに、給与へ上乗せして支払います(毎月の概算天引きのイメージ)。
次に、令和8年8月等の中間報告のタイミングで支給ペースが十分か進捗を確認します。そして年度末を迎えたら、1年間の「評価料の総収入」と「スタッフへの総支給額」の差分を計算します。
もし還元額が不足していた場合は、翌年度の賞与等で全額支払って精算を完了させます(年末の過不足精算のイメージ)。
4.自院で実践する3つのポイント
給与という情報を扱う性質上、スタッフへ完全にお任せすることはできません。また「昇給額の決定」には経営者である先生のご判断が不可欠となります。実務の要点は以下の3ステップに集約されます。
①収入の集計
レセコンから、対象となるベースアップ評価料を集計する
②支出の集計
給与台帳から、対象スタッフへ支払った給与実績を集計する
③精算と報告
中間・年度末に「①と②」の過不足を確認・精算し、報告する
このサイクルと要点さえ押さえてしまえば、運用へのハードルは決して高くありません。医院の安定経営とスタッフのモチベーション向上のためにも、本制度を上手にご活用いただければ幸いです。
ベースアップ評価料の具体的な計算や運用方法について、ご不明な点がございましたら私たちアップパートナーズまでお気軽にご相談ください。
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