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心地良い内容の本ばかり選んでいる

2024.05.15更新

先月24日、また一つ歳を取りました。
51歳、イチローと同い年です。同じ誕生日の有名人を探してみると、ダイエー(現ソフトバンク)の岸川勝也選手、俳優の島田久作、競走馬のカツラギエース・・渋い・・ですね。
お客様から「子供が4月から〇〇に就職したよ」などというお話を聞き、自分の年齢を実感しているこの頃です。

 
心地良い内容の本ばかり選んでいる

最近はネットで本を買う機会も増えましたが、本当はリアルで立ち読みしながら気に入った本を探すことが好きです。
しかし、気がつくと似たような内容の本ばかり買っていたりします。特に、昭和の気合いの入った経営者の体験談に目が行きます。それは自分の考え方と相違が少なく、読んでいて心地良いからでしょう。これは、行動経済学的には確証バイアスと呼ばれるもので、人は最初に気に入ったもの、人、考え方などを、そう簡単には変えようとしないということです。

採用面接をすると、第一印象で気に入った人にはたくさん質問して、さらに気に入る理由を探してしまう…これもよくやってしまうことなのですが、こういうのは、確証バイアスの典型です。確証バイアスによる思考の偏りをなくすには、あえて反対意見を周囲に求めると良いそうです。
面接で言えば「私は彼が良いと思うんだけど、彼について気になる点をあえて言って欲しい」と周囲にお願いすることで思考がフラットになり、冷静になれます。


 
行動経済学を活用する

アメリカでは行動経済学は相当前から活用されていて、Amazonなどは、行動経済学の実験場と化していると言っても良いかもしれませんね。Amazonはアンカーリング効果というのを駆使しています。

例えば「この10万円の掃除機が今日だけは5万円!」と、書くと、最初に10万円が提示されているので、5万円が安く感じるということです。ちなみに、私はある時計屋さんでこの手法に見事に乗せられ、予算オーバーの時計を買ったことがあります・・・。

行動経済学は要するに、人がお金に関してどんな行動を取る傾向があるか?という学問です。社会心理学は、「社会が人の心理に影響を与えている」という考え方なので、心理学とはアプローチが真逆ですが、さらに発展して、人が意思決定して購買する行動を分析したのが行動経済学だと私は理解しています。理論と聞くと大企業だけのものかと思われがちですが、少し知っておけば役に立つことがたくさんあります。
そして、学問であるのに、「人は必ずしも理論的、合理的には行動しない」ことを基礎としている点が面白いところです。


 
報奨金はいつ渡すか?

さて、皆さんが仕事で成果をあげ、報奨金をもらえるとしましょう。「今日即金で支払うなら9万円だが、1ヶ月後の支給なら10万円にする。」と言われたら、どちらを選択するでしょうか?これはすぐに使える9万円を選択する人が圧倒的に多いのだそうです。ところが、「1年後なら 9万円。1年1ヵ月後なら10万円にする」と提示されると、8割以上の人が10万円を選択するそうです。
これは同じ1ヵ月でも今を起点とするか、1年後を起点とするかで1万円に対する印象が全く変わるからです。これは「時間認知の癖」と呼ばれています。
これを利用すると、企業側は即座に9万円を支払った方が、低コストかつ、スタッフの心理的な欲求を満足させることができます。逆に1ヵ月後に10万円支払っても、即金の9万円よりも効果が落ちるわけです。

ちなみに、ある会計事務所が、賞与をポイント評価にして、1年に1回だけ獲得したポイントにより支給するというやり方に変えました。経理の日頃の仕事を減らすには良い方法です。しかし、このやり方には現場のスタッフから非難が殺到しました。1年も経つと支給される頃には何のポイントなのかまるで覚えていないのです。ブラックボックス化しているとして、これは行動経済学の本を1冊でも読んでいれば未然に防げたはずです。

行動経済学というと難しそうですが、最近はわかりやすい本がたくさんあります。また、司馬遼太郎の歴史小説、特に太閤記や項羽と劉邦などはある意味民衆の心理、要するに行動経済学を見事に表していますから、一度手にとって読んでみてはいかがでしょうか?