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ミニマムタックス(富裕層増税)の強化と2027年からの変更点

2025.07.02公開
2026.04.17更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

令和7年から改正された「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」、通称「ミニマムタックス」ですが、令和9年からさらに増税となります。不動産や自社株を譲渡する方は必見の情報です。

2.制度趣旨と改正の背景

この制度は、例えば給与や不動産所得は累進課税で最大45%の所得税が課税されるのに対し、 不動産や株の譲渡所得は15%程の低い税率であったため、公平性の観点から最低限の税負担を求めるものです。
令和8年までは「3.3億円」の控除があり、対象は超富裕層(所得約10億円〜)に限定されています。しかし、令和8年度改正では「税負担の公平性」をさらに高めるため、税率の引き上げと控除額の縮小が決定されました。これにより、令和9年以降にM&Aや不動産売却を行う方はより広く増税の対象となる可能性があります。


3.令和7年(2025年) vs 令和9年(2027年):制度内容の比較

令和9年分から、計算の前提となる数字が大きく変わります。

項目令和7年・8年分令和9年分以降(強化後)
判定に使う税率22.5%30%
特別控除額3.3億円1.65億円(半減)
住民税の扱い別途(15%に含まれない)別途(不変)



【計算式の比較】
追加で発生する所得税額は、以下の計算で算出します。
•令和7年・8年分: {(基準所得金額 - 3.3億円) × 22.5%} - 基準所得税額
令和9年分以降: {(基準所得金額 - 1.65億円) × 30.0%} - 基準所得税額

 

4.事例による計算比較(売却益のシミュレーション)

所得が「分離課税15%(所得税)」のみであると仮定した場合、令和7年と令和9年でどれだけ税額が変わるか比較します。
ケース1:売却益 5億円の場合
・令和7年(控除3.3億 / 22.5%)
計算:(5億 - 3.3億) × 22.5% = 3,825万円
本来の税額:5億 × 15% = 7,500万円
判定:追加納税なし(本来の税額の方が多いため)
・令和9年(控除1.65億 / 30%)
計算:(5億 - 1.65億) × 30% = 1億50万円
本来の税額:7,500万円
判定:2,550万円 の追加納税

ケース2:売却益 10億円の場合
•令和7年(控除3.3億 / 22.5%)
計算:(10億 - 3.3億) × 22.5% = 1億5,075万円
本来の税額:10億 × 15% = 1億5,000万円
判定:75万円 の追加納税
•令和9年(控除1.65億 / 30%)
計算:(10億 - 1.65億) × 30% = 2億5,050万円
本来の税額:1億5,000万円
判定:1億50万円 の追加納税

ケース3:売却益 20億円の場合
•令和7年(控除3.3億 / 22.5%)
計算:(20億 - 3.3億) × 22.5% = 3億7,575万円
本来の税額:20億 × 15% = 3億円
判定:7,575万円 の追加納税
•令和9年(控除1.65億 / 30%)
計算:(20億 - 1.65億) × 30% = 5億5,050万円
本来の税額:3億円
判定:2億5,050万円 の追加納税

5.どんな人に影響がある?

令和9年分以降、この制度の影響を受けるのはこのような方です。
基準所得金額が5億円程の方
※土地建物の譲渡所得や上場株式や非上場株式の譲渡所得、給与・事業所得、 その他の各種所得に申告不要制度を適用できる株式の譲渡所得なども合算した金額が基準所得金額となります。(NISA等の非課税分は除く)

対象となった場合は所得税が最大で2倍近くに跳ね上がる可能性があります。
売却を令和8年までに実行するか、令和9年以降にするか検討しましょう。
ご相談は税理士法人アップパートナーズ天神相続・事業承継オフィスまで。
https://upp-souzoku.com/

※2026/4/3追記
令和8年度税制改正 ミニマムタックスの内容はこちらから


豊福 陽子(所長・パートナー税理士)

登録番号第128051号

主な担当先の業種: 歯科クリニック/不動産/サービス
得意な分野: 一般税務/資産税/事業承継/組織再編

税理士法人アップパートナーズ
福岡天神・相続事業承継オフィス