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手形や小切手を電子化した「電子記録債権(でんさい)」対応できていますか?

税務

2023.01.06

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

1.はじめに
手形・小切手を電子化したものを電子記録債権(でんさい)と 言います。2013 年 2 月に手形・小切手の電子決済制度が始まりましたが、未だに紙での取り扱いが多いのが現状です。しかし、コロナ禍の影響に加え、政府が 2026 年度をめどに紙 の手形・小切手を全面的に廃止する方針を示したことで、でんさい利用の動きが加速してきています。

2.でんさいのメリット
○ 印紙税が課税されない
→紙の手形発行時には印紙税が課税されますが、電子債権になれ ば印紙税は課税されません。
○ 支払いにかかる事務負担が減る
→紙の手形は手形の現物管理、印紙貼付、押印、封入発送という手続きがあり、郵送コストがかかりますが、電子化することで面 倒な支払事務負担が大きく軽減されます。
○ 債権の紛失・盗難を防げる
→ペーパーレス化により紛失や盗難の心配がなく、無駄な管理コス トを削減することができます。また、紙媒体より災害にも強いです。
○ 取立手続きが不要
→紙の手形は手形取立の手続きが必要ですが、でんさいは支払期 日になるとお取引がある金融機関の口座に自動的に入金されます。
○ 手形取立手数料が不要
→手形取立の必要がないため、手形取立手数料がかかりません。しかし、でんさい利用に伴う手数料がかかります。
○ 分割して譲渡や割引ができる
→紙の手形は譲渡や割引はできますが、手形を分割することはできません。でんさいは必要な分だけ分割することが可能になります。
○ 効率化が図れる
→手形、振込、一括決済など、複数の支払手段を一本化すれば効率化が図れます。
○ 手形帳や小切手帳の購入が不要
→紙の手形・小切手を利用する場合は、金融機関から手形帳、小 切手帳の購入が必要で、購入手数料も値上がり傾向です。でんさいは購入の必要がありません。

3.でんさいのデメリット
○ 金融機関で事前の申込みが必要決済を有するため、利用開始するには金融機関で一定の審査があります。
○ 取引先もでんさいを利用している必要がある債権者、債務者の一方が利用しているだけでは使えません。どちらもでんさいの利用登録をして初めて使えるようになります。

都市部の企業や大企業を中心に利用が進んでいますが、地方ではまだ利用頻度が低いのが現状です。メリット、デメリットは色々ありますが、電子化に向かっていくのは間違いありません。
紙の手形・小切手を利用されている場合は、お取引先やお取引金融機関にお尋ねの上、検討されてはいかがでしょうか。

給料はいくらまでなら税金がかからない?

税務

2022.12.27

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
年末調整の時期になると「私は103万円以内の給与だから税金はかからない」といった事を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。パート職員の収入は正社員の給与同様に「給与所得」となります。今回は「所得税」「住民税」「社会保険」それぞれについて税金等がかからない収入の範囲について解説します。

1.所得税の範囲
給与収入が103万円以下であれば所得税がかかりません。
給与にかかる税金を計算する際、「給与所得控除」が使えます。もらっている給与の額に応じて控除額は変動しますが、控除の最低額は55万円です。
また「基礎控除」というものがあります。これは所得が2,400万円を超えるような高所得者でなければ48万円となっています。
上記の各種控除を使って課税される給与額を計算すると下記になります。

給与収入  給与所得控除   基礎控除
103万円  -  55万円   -  48万円  = 0

このように課税される所得がゼロとなるため税金がかからないのです。
逆に言えば給与所得控除と基礎控除を足した103万を超える給与は税金が発生することになります。

2.住民税の範囲
では住民税はどうでしょうか?
住民税には非課税限度額があります。非課税限度額は45万円です。つまり給与所得控除55万円控除後の金額が45万円を超える場合は住民税が発生します。
つまり住民税もかからないようにするためには、給与を100万円以下にしなければならない、という事です。
ただし、この住民税の計算は「所得割」と言われる住民税の計算です。住民税にはもう一つ「均等割」といって市民一律に徴収される税金があります。こちらは市町村によって非課税となる所得の基準が違いますので、各市区町村へ確認をする必要があります。

3.扶養の範囲
次によく従業員から聞かれるものに「いくらまでなら配偶者の扶養に入れるか」があるかと思います。
配偶者控除は給与収入が103万円以下なら適用できます。
配偶者の給与が103万円を超えた場合でも「配偶者特別控除」の要件に該当すれば控除ができます。103万円を超えて201万5,999円以下なら配偶者特別控除の対象です。配偶者の収入によって控除額が最低1万円から最高38万円に変わります。また、納税者本人の所得が1,000万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も適用できなくなります。
さらに、給与から差し引かれる社会保険料にも扶養の考えがあります。
こちらは従業員の扶養する配偶者、同居家族がいる場合、給与収入が130万円未満であれば扶養家族として社会保険の被扶養者に該当します。

このように所得税、住民税、社会保険は課税、扶養の最低基準が違いますので、混同して理解されている方がよくいらっしゃいます。「扶養家族に入れる範囲で、もしくは税金がかからない範囲で給料が欲しい」とパートの職員などから言われた場合には、所得税、住民税、社会保険のどのことについて言っているのか確認することが大事になりますので注意しておきましょう。

税理士事務所の選び方

税務

2022.12.01

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
中小企業の税務・財務・経営のパートナーである顧問税理士。初めて税理士に仕事を依頼する時、また顧問税理士の変更を考えている時、経営者の皆さまはどのような基準で依頼する税理士事務所を選んでいますか?全国約2万8000件あると言われている税理士事務所ですが、最近はお客様が増えているところとそうでないところの2極化が進んでいるなと感じています。
本日は、「税理士事務所の選び方」について私なりに思うポイントをご紹介したいと思います。

1.その事務所の特徴を知る
意外と知られていないことも多いのですが、実は税理士にも得意・不得意分野があり、同じように税理士事務所の中にも業務や業種に特化している事務所があります。

業務特化型というのは、例えば
相続関連、国際税務、開業支援(スタートアップ)などで

業種特化型というのは、例えば
飲食業特化、医療機関特化、美容室特化型など。
同じ業種の顧問先が多いとさまざまなノウハウが集まりますので、質の高いアドバイスができるようになります。
(ちなみに弊社は、クリニックや歯科などの医療機関に強みがあります)

このように、最近では特徴のある事務所というのが業績を伸ばしている傾向にありますので、事務所を探される際はぜひ注目していただければと思います。

2.何を期待するかをはっきりさせておく
契約する時は「その事務所に何を期待するか」をはっきりさせておいたほうが良いと思います。
・とにかく節税したい
→節税したいのに「財務を良くしたい」と考える税理士さんと契約すると、意見が合わず衝突することも…
・経営全般の相談がしたい
→すごく忙しい事務所と契約すると担当者に時間が無く対応してもらえないことも…
・後継者問題の相談がしたい
→かなりの経験が必要になります。その事務所に実績があるのか確認しましょう
・バックオフィス機能(給与計算など)を任せたい
→その事務所が機能を持っているか確認しましょう
・助成金の情報が欲しい、人事問題を相談したい
→社労士と提携しているか、事務所内に社労士がいるか聞いておきましょう

特に注意が必要な「税理士事務所の特徴」
・相続、事業承継に強い
→どの事務所もうたっていることが多いですが、相続税の申告と事業承継対策は別物です。
その先生は、相続と事業承継どちらが強いのか聞いておいたほうが良いでしょう。
・資金繰りに強い
→実際は銀行に知り合いがいるだけの場合も多いです。本当に強い事務所は日頃から資金繰り管理サービスを提供していることが多いので、一度尋ねてみましょう。
・税務調査に強い
→税務署と喧嘩した昔話をする人も時々いらっしゃいますが、今のトレンドは「いかに喧嘩せずに対策を打つか」です。

また、税理士事務所に専門知識を期待するなら、「失礼になるかも…」と遠慮せずに質問したほうがよいでしょう。
例えば、整形外科の場合なら…
・PT(理学療法士)のリハビリの点数は?
・1日あたりのPTのリハビリ数の目安は?
・診療報酬の平均患者単位は? など

飲食業なら…
・同じ業態で客単価はどれくらいが適正?
・FLコスト(原価、材料費と人件費を足した費用)の目安と目標値は?
・近所の繁華街の1階テナントの家賃相場は? など

こういった情報に詳しい税理士さんの方が経営者の皆さまのお役に立つことが多いです。

3.契約時に気をつけること
後でトラブルにならないために契約時に気をつけることがいくつかありますのでご紹介いたします。

・年間で費用総額はいくらか?
→ソフトの利用料や年末調整などのスポット料金が入っていないとトラブルになるケースもよく見ます。料金が別途発生しないか確認しておきましょう。
・担当者は年に何回訪問するのか?
・決算の検討や報告はいつ行われるのか?
・担当者はどんな人か?(経験年数、担当先の規模、件数など)
→10人くらいの規模の事務所になると、所長先生が毎月訪問するのは難しくなってきます。そうなると担当者の経験、知識がアドバイスの大部分を占めますので担当者がどんな方かというのは実際に会って確かめておいたほうが良いでしょう。
・担当変更は定期的にあるのか?
→担当者がすごく良い方だったとしても変更が定期的にあっては困ると思いますので、こちらも確認しておきましょう。
・ミスが発生した場合はどのように対処するのか?
→ミスが発生した場合にどちらがどのような配分で賠償をする、責任を負うのかを確認しておきましょう
・料金の値上げはあるのか?
→弊社の場合では、お客様の規模が大きくなったり、別法人を設立したりしたタイミングなどでお願いしていますが、事務所によっては売上規模やスタッフ数によって値上げになるところもありますのでご注意ください。
・解約時はいつまでに通告すればよいか
上記は契約書をきちんと結ぶことでトラブルを防げると思います。

いかがでしたでしょうか?
税理士事務所を探す際の少しでも参考になれば幸いです。

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