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経営セーフティ共済の改正

2024.06.18更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

独立行政法人中小企業基盤整備機構の経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。今回はこの共済について解説いたします。

 

2.経営セーフティ共済のポイント

①無担保・無保証人で借入可能
取引先が法的整理等に陥った場合に、「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍」の、いずれか少ない金額まで借入れできる。

②取引先が倒産後、借り入れ可能
取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、借り入れできる。

③掛金を損金、または必要経費に算入できる
掛金月額は5,000円~200,000円まで自由に選べる。

④解約手当金が受けとれる
共済契約を解約された場合は、自己都合の解約であっても、掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヶ月以上納めていれば掛金が全額戻る。

心強い制度ですが、平成23年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにも関わらず、加入が急増している状況にあります。
解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目・4年目に解約が多く、近年その傾向が顕著になってきました。脱退・再加入は積立額の変動により貸付可能額も変動することとなり、連鎖倒産への備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではないと懸念されています。

 

3.共済契約解除の改正

これをふまえ、令和6年10月1日以後の共済契約の解除について改正が行われました。

特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例における独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済事業に係る措置について、中小企業倒産防止共済法の共済契約の解除があった後同法の共済契約を締結した場合には、その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する当該共済契約に係る掛金については、本特例の適用ができないこととする(所得税についても同様とする)


(出典:中小企業庁 中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について )


 

4.さいごに

今後は、解約手当金を受け取った後、2年間は掛金を損金または必要経費に算入できないこととなります。制度の意義を考えながら加入及び解約の検討をしましょう。


Yoko Fuchino

税理士法人アップパートナーズ
佐賀伊万里オフィス

経営セーフティ共済の改正