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賃上げと採用の動向

2024.05.02更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

年度末は、大手企業の賃上げに関する報道を見聞きする機会が多いですが、中小企業の動向はどのようになっているでしょうか。

 

2.賃金改善

ある民間調査会社の調べによると、2024年度にいわゆる「賃金改善」(定期昇給とは別にベースアップ等を行うこと)を予定している企業は、有:60%・無:14%・未定:26% となっています。
また、企業規模別でみても、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模すべてで、前年度よりも賃金改善見込みの割合が上昇しており、従業員数別が「6 ~20人」「21~50人」「51~100 人」「101~300 人」の層でも6割を超えています。
「5人以下」では賃金改善を行う割合が低くなっているものの、4割台に達しています。

賃金改善を実施する理由は、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が約75%と最も高く、その他の理由としては、「従業員の生活を支えるため・物価動向」「採用力の強化・同業他社の賃金動向」などが挙げられています。
採用面で考えてみると、地場の大手地銀が大幅な初任給引き上げを行うなど、賃上げ基調が強くなっており、自社の採用競争力と経営面のバランスに苦慮する企業も多いかと思います。

 

3.賃金改善のライン

賃金改善を検討するにあたっては、まず自社の給与水準が地域の同業他社と比較してどのラインにあるのかを把握することが必要かと思います。

その上で、賃金改善を行う必要があると判断した場合に、どの程度の引き上げを行うのか検討することになりますが、賃金改善等を実施する予定の企業における総人件費(月給及び賞与)の増加見込みは、中央値で3%ほどと言われています。

中小企業の実態を見ている肌感覚から申し上げると、月給のベースアップを検討するのであれば、財務上のバランスを考慮した上で1.5~3%を目安として検討してはいかがかと考えます。また、求人の初任給をアップさせた場合には、在職している従業員のベースアップを行う必要がありますが、どの職位までアップさせるのか、職位ごとにアップ額を変えるのか等を考えていく必要があります。

 

4.採用・求人

中小企業においては、中途採用のウエイトが大きい傾向にありますが、転職マーケットの2024年2月の求人倍率は2.67倍(前年同月差+0.5以上)であり、求人数のほうが転職希望者数より大きく増加し、転職求人倍率は上昇すると推測されています。
転職希望者のニーズは様々ですが、「収入増」・「ワークライフバランスの確保」・「スキルアップ」が主なものとして考えられます。採用競合と自社の労働環境を比較し、優れていると思われる部分については、自社HPや採用サイトでアピールポイントとして数値を用いるなど具体的に訴求することが効果的です。

 

5.さいごに

「採用と定着」は、重要度が高まっている経営課題かと思います。賃金改善や採用等についてご相談やご質問がありましたら、お気軽に弊社スタッフへお声掛けください。


Satoshi Hikai

社会保険労務士法人かぜよみ
代表社労士

賃上げと採用の動向