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交際費等の税務上の取り扱い

2024.02.16更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

「交際費がいくらまで経費で落ちるのか」が話題に上がったことはないでしょうか。今回は税務上の交際費についてまとめたいと思います。

 

2.交際費は原則損金不算入

法人税法上交際費等とは「その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類するもの」を言います。
税法上は別段の定め(会計と異なる特別なルール)が規定されており、原則損金不算入とされています。その上で一定の要件で計算した金額を例外的に損金算入するという措置が設けられています。
計算書類の添付が漏れると全額損金不算入となってしまうため、実は怖い制度です。

 

3.資本金1億円以下の法人

大多数の中小企業が該当する資本金1億円以下の法人は、
①交際費等の額が800万円に達するまでの金額
②接待飲食費の50%に相当する金額

を計算しいずれか大きい金額が損金算入されるというルールになっています。
この800万円の枠は事業規模にかかわらず1法人ごとですので、規模が大きく接待飲食費が多額の法人では800万円でなく接待飲食費の50%を計算した方が有利となる場合があります。利益がでている場合には事業の分割や管理法人の設立を検討することも有効です。

 

4.資本金1億円超の法人 ※医療法人は要注意

資本金1億円超の法人は、800万円の枠がなく②接待飲食費の50%に相当する金額のみが損金算入限度額となり、交際費の範囲が狭まります。接待飲食費の50%ですので、ゴルフプレー代や贈答品は含まず、更に社内飲食費(役員だけの懇親等)も除外されます。  
また、注意すべきは医療法人等の出資を有しない法人です。資本金がないため「(期末総資産 – 総負債 – 当期利益)×60%」で計算した金額を資本金とみなすルールとなっており、繰越利益が1億6千万円をやや超えたあたりで交際費の幅が一気に狭まってしまいます。
今期わずかに超えてしまうような場合は、後1年遅らせることができないか利益対策を検討してください。

 

5.10,000 円以下の飲食費等

令和6年度税制改正により、一人当たり10,000円以下の飲食費等については交際費等から除外して損金算入されることになりました。(5,000円から10,000円に拡充)
10,000円以下の飲食費を経理上「会議費」等の科目で交際費等と区別することで交際費等の枠を有効に使うことができます。
令和6年4月1日以後の支出から適用となりますので、事業年度をまたぐ場合には経理処理に注意が必要です。

 

6.個人事業の交際費

個人は経費の考え方が法人と異なり「事業と直接の関連をもち、事業の遂行上必要な費用」が経費とされます。一見個人の方が要件が容易に感じますが、判例上交際費の「事業と直接の関連」の証明はかなり難易度が高く、この論点で税務署と争うことは困難を極めます。対策としては、同業他社比率を参考にする、事前に経費の自己否認をする、法人成りを検討する、等が考えられます。

 
交際費1つとっても自社のポジションによって有効な対策は異なりますので、些細なことから何なりと税務担当者にご相談ください。


Kengo Matsumoto

税理士法人アップパートナーズ
福岡オフィス

交際費等の税務上の取り扱い