2023.06.16更新
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
結婚や子育ては人生の中でも最もお金を必要とする時期かと思います。家庭を築くとなると、住宅の購入、引っ越し資金、子供の教育費などなど多くの経済的負担がかかります。このような重要なライフステージにおいて、親や祖父母から金銭的な援助を受けることも多々あるのではないでしょうか。
本日は、令和5年度税制改正で3年間延長(令和8年3月31日まで)になった「直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税について」制度内容や流れについて解説します。
受贈者(18歳以上50歳未満の者)が結婚・子育て資金に充てるために、その直系尊属が金銭等を出し、金融機関等に信託等をした場合には、信託受益権の価格又は拠出された金銭等のうち、受贈者1人につき1,000万円(結婚に関するものは300万円まで)までの金額に相当する部分の価額について贈与税が非課税となります。
※直系尊属とは父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです。また、養父母も含まれますが叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。
【適用要件】
・贈与者が直系尊属であること
・受贈者が18歳以上50歳未満であること
①取扱金融機関において、受贈者名義の結婚・子育て資金口座の開設
②「結婚・子育て資金非課税申告書」を、金融機関を経由して受贈者の納税地の所轄税務署に提出
③贈与者が結婚・子育て資金口座へ金銭等を一括で拠出
④受贈者は結婚・子育て資金口座から払出しを行い、支払に充てた金銭に係る領収書等を、一定の期間内に金融期間に提出
⑤贈与税の申告が必要となるのは結婚・子育て資金口座に係る契約が終了した時など
④で払い出せる費用例は以下のものです。
■受贈者の結婚に際して支出する費用(限度額300万円)
ⅰ.挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日1年前の日以後に支払われるもの)
ⅱ.家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)
■受贈者(配偶者を含む)の妊娠、出産又は育児に要する費用
ⅲ.不妊治療・妊婦健診に要する費用
ⅳ.分べん費等・産後ケアに要する費用
ⅴ.子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)
⑤にあるように結婚・子育て資金口座に関する契約ついて下記の3点のいずれかに該当すれば終了となります。
・受贈者が50歳に達した時
・受贈者が死亡した時
・口座の残高がゼロになり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があった時
上記内容の内、「受贈者が死亡した場合」については贈与税は発生しませんが、その他に該当した場合に最初一括で拠出していた金額が残っていた場合は贈与税の申告が必要となる場合があります。
また、贈与者が死亡した場合には、拠出していた金額の残高が相続財産となり相続税の申告が必要となる場合があります。
契約終了時や死亡した際に残高があれば贈与税や相続税がかかりますので、ご注意ください。
いかがでしたでしょうか。子供や孫などに贈与を検討される際は、ご活用いただければ幸いです。ご検討される場合は金融機関や税理士等にご確認ください。
Takafumi Yoshinaga
税理士法人アップパートナーズ
佐賀中央オフィス