人事労務
2024.06.03
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
社会福祉法人の決算日は3月31日となります。決算で確定した計算書類等は会計年度終了後3ヶ月以内に所轄庁へ提出することとなっており、6月30日までに全ての手続きを終了しなければなりません。今回はこの流れとポイントをまとめます。
まずは予算です。直接決算とは関係ないのですが、次期事業年度予算については、「毎会計年度開始の日の前日までに、理事長が作成し、理事会の承認を受けなければならない」とされています。ですから、次年度の予算については3月31日までに理事会の承認を受けている必要があります。
次に決算ですが、まずは現金預金の残高の確認です。3月31日時点の手許現金残高が帳簿残高と一致しているか、預金残高証明書と帳簿残高が一致しているか確認します。次に未収金・未払金の残高が請求書と一致しているか確認します。これは4月5月の預金通帳や実際に支払った領収書で確認することをおすすめします。そして、仮払金・仮受金・預り金等の残高の確認です。これは日頃から残高を確認することが重要です。
忘れてはならないのが、固定資産の増減の確認です。期中の購入や処分によって、増減した固定資産がないか固定資産台帳との突合作業が必要です。その他、引当金等の計上を行います。
つまり、まずは貸借対照表の金額を確定すること、これがポイントです。貸借対照表の金額が確定すれば決算の数字はほぼ出揃います。
決算が確定すれば、あとは監事監査を受け、理事会の承認、2週間以上の間隔を空けて定時評議員会で承認を受けます。最後に承認を受けた計算書類等を所轄庁へ提出します。ここまでを6月30日までに行います。
理事長は自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならないので、その間隔が定款の規定上「毎会計年度に4月を超える間隔で2回以上」となっている場合は、6月と3月の理事会で職務の執行の状況を報告すれば大丈夫です。その際は議題という形ではなく、報告となります。決議の省略とは扱いが異なり、対面かオンライン等を使用した理事会の開催が必要となりますのでご注意ください。
人事労務
2024.05.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
年度末は、大手企業の賃上げに関する報道を見聞きする機会が多いですが、中小企業の動向はどのようになっているでしょうか。
ある民間調査会社の調べによると、2024年度にいわゆる「賃金改善」(定期昇給とは別にベースアップ等を行うこと)を予定している企業は、有:60%・無:14%・未定:26% となっています。
また、企業規模別でみても、「大企業」「中小企業」「小規模企業」の3規模すべてで、前年度よりも賃金改善見込みの割合が上昇しており、従業員数別が「6 ~20人」「21~50人」「51~100 人」「101~300 人」の層でも6割を超えています。
「5人以下」では賃金改善を行う割合が低くなっているものの、4割台に達しています。
賃金改善を実施する理由は、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が約75%と最も高く、その他の理由としては、「従業員の生活を支えるため・物価動向」「採用力の強化・同業他社の賃金動向」などが挙げられています。
採用面で考えてみると、地場の大手地銀が大幅な初任給引き上げを行うなど、賃上げ基調が強くなっており、自社の採用競争力と経営面のバランスに苦慮する企業も多いかと思います。
賃金改善を検討するにあたっては、まず自社の給与水準が地域の同業他社と比較してどのラインにあるのかを把握することが必要かと思います。
その上で、賃金改善を行う必要があると判断した場合に、どの程度の引き上げを行うのか検討することになりますが、賃金改善等を実施する予定の企業における総人件費(月給及び賞与)の増加見込みは、中央値で3%ほどと言われています。
中小企業の実態を見ている肌感覚から申し上げると、月給のベースアップを検討するのであれば、財務上のバランスを考慮した上で1.5~3%を目安として検討してはいかがかと考えます。また、求人の初任給をアップさせた場合には、在職している従業員のベースアップを行う必要がありますが、どの職位までアップさせるのか、職位ごとにアップ額を変えるのか等を考えていく必要があります。
中小企業においては、中途採用のウエイトが大きい傾向にありますが、転職マーケットの2024年2月の求人倍率は2.67倍(前年同月差+0.5以上)であり、求人数のほうが転職希望者数より大きく増加し、転職求人倍率は上昇すると推測されています。
転職希望者のニーズは様々ですが、「収入増」・「ワークライフバランスの確保」・「スキルアップ」が主なものとして考えられます。採用競合と自社の労働環境を比較し、優れていると思われる部分については、自社HPや採用サイトでアピールポイントとして数値を用いるなど具体的に訴求することが効果的です。
「採用と定着」は、重要度が高まっている経営課題かと思います。賃金改善や採用等についてご相談やご質問がありましたら、お気軽に弊社スタッフへお声掛けください。
税務
2023.11.02
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
労働力が不足する中で、バックオフィス(総務・経理)に労働力を割けない時代がやってきています。その中でインボイスの導入、電子帳簿保存法の施行で、バックオフィス業務の煩雑さも増えてきます。
これからは以下の3つが重要となってきます。
・ バックオフィスの DX
・ 紙の書類のデータ化
・ バックオフィスの外注
最近「DX」という単語を見る機会が増えていると思います。読み方は、「デジタルトランスフォーメーション」となり英語では Digital Transformation となります。
Trans は交差するという意味があるため、交差を 1 文字で表す「X」が用いられています。パソコンで意味を検索してみると、「企業が、ビッグデータなどのデータと AI や IoT をはじめとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること」と出てきます。
ちなみに IT 化は情報技術(IT)を活用して業務プロセスなどを効率化することで、一方の DX は、IT を含むデジタル技術を駆使してビジネスを変革し、新しい価値を生み出すことです。DX の重要なポイントは、単なる効率化ではなく業務プロセスの改善と、ビジネスモデルの変革だということです。
経理でいうと、請求書や領収書を紙でもらい、それを手書きの管理帳に転記し、更に会計ソフトへ手入力する、という一連の行為があります。
そこで、今流行りのクラウド会計を導入することでその作業が無くなるのか、というと、残念ながら無くなりません。ところが、請求書や領収書を電子データ化することでこの一連の作業が無くなります。これが業務プロセスの改善ということになります。
例えば、従業員の給与計算の基となるタイムカードも、最近では PC やスマートフォンで打刻し、勤務時間を自動集計し、そのまま給与計算ソフトに取り込むことができます。これもタイムカードがデータ化されることで業務プロセスの改善が行われた結果です。
すぐに電子化が難しい場合は、バックオフィス業務を外注する方法もあります。
アップパートナーズグループでは、記帳代行や給与計算もご要望に応じて対応させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。また、クラウド会計を導入したいなどのご要望もぜひ担当者までご連絡ください。
人事労務
2023.10.17
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
令和 5 年 10 月より最低賃金の額が引き上げられることになりました。
改定額の全国加重平均額は 1,004 円と昨年度の 961円から 43 円の引き上げとなっており、昭和 53 年度に目安制度が始まって以降で最高額となりました。アルバイトやパートの時給見直しだけでなく、正社員の方についても最低賃金を下回っていないかなどの確認が必要となります。
福岡県 900 円→941 円 (41 円増額)
佐賀県 853 円→900 円 (47 円増額)
長崎県 853 円→898 円 (45 円増額)
熊本県 853 円→898 円 (45 円増額)
東京都 1,072 円→1,113 円 (41 円増額)
大阪府 1,023 円→1,064 円 (41 円増額)
全国平均 961 円→1,004 円 (43 円増額)
(1) 時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2) 日給の場合
日給 ÷1 日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
※ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)
(3) 月給の場合
月給 ÷1 ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
※上記以外の場合や詳しい計算方法については、ご依頼されている社会保険労務士または最寄りの都道府県労働局労働基準部賃金課室などにお尋ね下さい。
(1)中小企業向け賃上げ促進税制
こちらの制度は令和 4 年 4 月より既に適用されているもので、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で 1.5%以上増加した場合には15%の税額控除の適用を受けることができます。
上乗せ要件として、雇用者全体の給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加した場合には 30%の税額控除の適用を受けることができます。また、教育訓練費の額が前年度比で 10%以上増加した場合には税額控除額を 10%上乗せすることができます。
(2)中小企業等経営強化法(経営力向上計画)
経営力向上に関する取組みを支援します。事業者は事業分野別指針等に沿って「経営力向上計画」を作成し、国の認定を受けることができます。認定された事業者は、法人税または所得税の計算において、即時償却または取得価額の 7%(一定の場合には 10%)の税額控除が選択適用できます。
最低賃金については、今後も引き上げが見込まれています。その状況に備えて、効率的な業務を検討していく必要があります。
人事労務
2023.03.16
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
急激なインフレや人材確保ため、大手企業の給与のベースアップが話題になっています。それに伴い、中小企業も続々と給与改定を検討している印象です。直接的な労働条件の上方修正も、採用や離職防止にとって効果的ですが、従業員が昇給のルールや評価の仕組み(人事評価制度)が不明確なことによって“将来性”を不安視したことが退職理由となるケースも多々見受けられます。
そんな中、社員に長くやりがいを持って働いてもらうための取り組みとして「人事評価制度」が注目されています。人事評価制度とは、従業員の職務内容やスキルを評価し、給与や賞与、昇給等に反映する仕組みのことです。本日はそのメリットとデメリットについてお伝えいたします。
・成果がアップする
評価の指標や具体的な行動を示すことにより、従業員が企業の求める課題や期待値を理解し、双方の方向性を一致させることができます。
・人材育成、成長サポート
会社が求める人物像に対して、何が課題か、評価を通して客観的に明らかにできます。課題に対しては、どのような研修や教育等を用い、改善・成長していくかを上長と話し合いながら取り組んでいきます。企業側も明確な課題点や評価項目があることでマネジメントが行いやすくなり、人材育成に効果が期待できます。
・人材の把握ができる
従業員のスキルや特性を把握する機会となり、人材の把握やスキル管理ができます。また評価を重ねることにより、成果を出している優秀な人材を適切に配置することもできます。
・モチベーションの向上
上司と従業員の間でコミュニケーションの活性化が期待でき、取り組みや成果を従業員にフィードバックすることで、モチベーションアップにもつながります。
また、面談の機会が増えることにより、問題点や悩み等を相談しやすくなり、未然に離職を防止できるケースもあるでしょう。
・評価に時間がかかる
制度構築には、評価項目や給与等への反映方法、基準等の様々な項目の設計のため、一時的に大きな時間と労力がかかります。
また、制度の運用は定期的な面談や評価をする業務が発生するため、企業全体に大きな負担がかかります。さらに、評価者が複数人いる場合には、研修等により、評価者の偏り(厳しい・甘い)を調整することも必要です。
人事評価制度には、メリット・デメリットがそれぞれありますが、従業員が将来に期待できる制度設計をすることで、採用や定着率に大きな効果がある制度ではないでしょうか。
弊社でも設計・運用のサポートを行っておりますので、ご不明な点や設計にご興味がある場合は、お気軽にご相談頂ければと思います。