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ベンジャミン・フランクリンから学ぶリーダーシップ

2024.02.15更新

先日、歯科医院の開業セミナーの講師で久しぶりに沖縄に行きました。
沖縄は人口が増えている割に歯科は増えていません。医科もほぼ横ばいです。なので、医療ニーズは今後ますます増える予測で、建築費の高騰にも関わらず金融機関は積極的に融資をしています。

その建築業の方に話を聞くと,今後も建築費は下がらないだろうと口を揃えます。少し調べると、例えば国税調査の「大工就業者数」は、現在30万人ほど。これは20年前の半分でしかありません。しかも、60歳以上の方が約半数を占めます。建設業全体の就業者数もピーク時の30%減です。

円安、資材輸送費、資材の高止まりなど色々な要素が組み合わさりますが、建築価格は今後も簡単には下がらないと考えた方が良さそうです。ですので建築を伴う設備投資にしても、住宅にしても「いつ建てるべきか?万博が終わるまで待つべきか?」と質問された際は、「今でしょ!」(←古くてすみません…)と答えるようにしております。

 
ベンジャミン・フランクリン

 
さて、今日は最近読んだ楠木建氏の著書「経営読書記録」からベンジャミン・フランクリン(1706~1790) をご紹介します。既によく知っているという方、もし私の説明が間違っていたらこっそりご連絡ください(笑)

彼はアメリカでは建国の父として知られていますが、「凧をあげて雷が電気であると証明した人」の方が馴染み深いでしょうか。しかし彼はいわゆる専門家ではなく、「究極のジェネラリスト」だったそうです。実業家、政治家、外交官、物理学者、気象学者・・・今でいう多動力を地で行く人だったようです。
印刷工から始まり、実業家として大成功しましたが、信条は「信用第一」で、事業で成功するために13の徳目というのを弱冠23歳で打ち立てています。

『節制 沈黙 規律 決断 節約 勤勉 誠実 正義 節度 清潔 平静 純潔 謙虚』
これだけ見ると宗教っぽいのですが、彼の面白さは「そのようにすることが結果的に自分の利益になる」と考えていたことでしょう。
例えば、「節制する→人から信用されやすくなる→仕事が増える→勤勉に働けば財務的に豊かになる→お金が心に余裕を与える→道徳的な人格形成に役立つ」みたいな感じです。もっとも最初に志向した「(イエス・キリストのような)完璧な人間」にはなれなかったと述懐しています。

 
彼については有名なエピソードがあります。 

フランクリンの住んでいるフィラデルフィアは道路が舗装されておらず、いつもグチャグチャに汚れていた。そこでまず、清掃してくれる人を探した。候補者は「全ての家が6ペンス(今の3000円くらい?)出してくれればやってもよい」とのことだった。
フランクリンは、道路沿いの各家庭に「道路がきれいになれば毎日靴を磨かなくてすむ、洗濯も楽になる、人通りが増えて商売繁盛する」等々、住民の実利を訴えたところ、なんと全ての家が清掃に賛成した。かくして道路はキレイになったが、「どうせなら舗装しよう」という世論が出来上がり、道路は見事に舗装され、フランクリンの当初の目的は達成された。


  
これはリーダーシップというものを考える上でとても考えさせられます。
というのも一人の反対、犠牲を出さずに目標を達成して、しかも関わった全員が利益を得ることができているからです。
会社経営をしていると、敵を倒すとか、誰かに無理を強いなければならないとか、何かを得るために何かを捨てなければならないという場面によく遭遇します。しかし、全員が納得できないとしても、常に全体最適を考え、目標が最短ルートで達成されるよう考えるのが経営者の努めだと思います。

経営学者の楠木建氏はフランクリンを以下の趣旨で評しています。「フランクリンは人間の本性やそれによって構成される社会の本質を理解していた。本質を掴む人は今も昔も同様の成果を得る」
豊臣秀吉や劉邦でも似たような逸話が残っていますが、人間の本質はなにか?人間が本当に求めるものはなにか?経営とはそれを考え続けることなのかもしれませんね。