2022.12.27更新
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
年末調整の時期になると「私は103万円以内の給与だから税金はかからない」といった事を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。パート職員の収入は正社員の給与同様に「給与所得」となります。今回は「所得税」「住民税」「社会保険」それぞれについて税金等がかからない収入の範囲について解説します。
1.所得税の範囲
給与収入が103万円以下であれば所得税がかかりません。
給与にかかる税金を計算する際、「給与所得控除」が使えます。もらっている給与の額に応じて控除額は変動しますが、控除の最低額は55万円です。
また「基礎控除」というものがあります。これは所得が2,400万円を超えるような高所得者でなければ48万円となっています。
上記の各種控除を使って課税される給与額を計算すると下記になります。
給与収入 給与所得控除 基礎控除
103万円 - 55万円 - 48万円 = 0
このように課税される所得がゼロとなるため税金がかからないのです。
逆に言えば給与所得控除と基礎控除を足した103万を超える給与は税金が発生することになります。
2.住民税の範囲
では住民税はどうでしょうか?
住民税には非課税限度額があります。非課税限度額は45万円です。つまり給与所得控除55万円控除後の金額が45万円を超える場合は住民税が発生します。
つまり住民税もかからないようにするためには、給与を100万円以下にしなければならない、という事です。
ただし、この住民税の計算は「所得割」と言われる住民税の計算です。住民税にはもう一つ「均等割」といって市民一律に徴収される税金があります。こちらは市町村によって非課税となる所得の基準が違いますので、各市区町村へ確認をする必要があります。
3.扶養の範囲
次によく従業員から聞かれるものに「いくらまでなら配偶者の扶養に入れるか」があるかと思います。
配偶者控除は給与収入が103万円以下なら適用できます。
配偶者の給与が103万円を超えた場合でも「配偶者特別控除」の要件に該当すれば控除ができます。103万円を超えて201万5,999円以下なら配偶者特別控除の対象です。配偶者の収入によって控除額が最低1万円から最高38万円に変わります。また、納税者本人の所得が1,000万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も適用できなくなります。
さらに、給与から差し引かれる社会保険料にも扶養の考えがあります。
こちらは従業員の扶養する配偶者、同居家族がいる場合、給与収入が130万円未満であれば扶養家族として社会保険の被扶養者に該当します。
このように所得税、住民税、社会保険は課税、扶養の最低基準が違いますので、混同して理解されている方がよくいらっしゃいます。「扶養家族に入れる範囲で、もしくは税金がかからない範囲で給料が欲しい」とパートの職員などから言われた場合には、所得税、住民税、社会保険のどのことについて言っているのか確認することが大事になりますので注意しておきましょう。
Akihisa Makino
税理士法人アップパートナーズ
佐賀伊万里オフィス