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こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
相続実務において、最も紛争化しやすい事例の一つが、特定の相続人を排除した遺言書の存在です。
最近の相談事例を例に挙げますと、相続人が子供3名であるにもかかわらず、そのうち2名にのみ全財産を相続させる内容の公正証書遺言が残されておりました。場合によっては、残る1名の感情的反発は避けられず、高確率で紛争へと発展する可能性があります。
今回は、不平等な遺言書が引き起こすリスクと、家族が笑顔で相続を終えるための生前対策について分かりやすく解説します。
2019年の民法改正により、遺留分制度は「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へと一本化されました。以前は不動産などの現物を共有状態で取り戻すことができましたが、現在は「侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利」へと性質が変わっています。
前述の「2名にのみ相続させる」ケースでは、遺産を取得した2名に対し、除外された1名が法的に計算された「不足分」を、現金で支払えと要求することになります。遺産の大部分が不動産であった場合、相続した2名は遺留分を支払うために不動産を売却せざるを得なくなる、あるいは多額の借入を強いられるといった、生活基盤を揺るがすリスクに直面するのです。つまり遺産取得の2名は遺留分を支払うための現金確保を考えなければなりません。
このような「もめることが明らかな案件」では、やっと遺留分が算定され、法的に合意したとしても、合意した支払い金額が「譲渡所得税」の負担を考慮していないものであったり、相続税申告期限(10ヶ月)を過ぎて特例が使えなくなったりと、依頼者に二重の不利益を与えかねないことになります。
また、遺留分の算定基準となる財産評価についても、法務上の「遺産分割時の時価」と税務上の「相続開始時の評価額」には乖離があります。この差異を理解していないと、話の行き違いが生じ、相続人間の不信感をさらに増大させる結果となりかねません。
「3名のうち2名に」という極端な遺言を作成する段階で、以下のような回避策を講じることも可能です。
①付言事項の活用
なぜこのような配分にしたのか、遺言者の想いを法的に保護されない「付言事項」として記し、感情的対立を和らげる。
②生前贈与と生命保険の活用
遺留分侵害額の支払い原資として生命保険金を活用したり、税務上の生前贈与加算期間を考慮した計画的な資産移転を行い、実質的な格差を縮小させる。
③遺留分放棄の検討
生前に家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄してもらう等、高度な法的・税務的手続きを並行して進める。
遺言書は、財産を残す人の最後の意思表示となります。財産を残す人だけではなく相続人も、納得できる遺言書となるといいですね。
Hiroko Kubota(マネジャー)
主な担当先の業種: 卸・小売/製造/農業
得意な分野: 一般税務/資産税
税理士法人アップパートナーズ
佐賀伊万里オフィス