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相続税調査で「デジタル金融資産」が着目されています!

2026.03.17更新

こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。

 

1.はじめに

近年、相続税の申告において新たな「死角」となっているのが、スマホやPCの中に隠れたデジタル金融資産です。以前は通帳や証書等を探せば金融財産の全容が見えましたが、近年では「目に見えない資産」であるデジタル金融資産の把握漏れが、税務当局から厳しく指摘されるケースが増えています。

 

2.相続税調査の現状

国税庁が発表した最新の令和6事務年度(2024年度)の調査状況によると、相続税の実地調査件数は約9,500件(前年比11.2%増)と増加傾向にあります。注目すべきは、調査1件あたりの追徴税額や非違(申告ミス)の割合が高止まりしている点です。

特に暗号資産などを含む「新分野の経済活動」に対する調査は一段と強化されています。所得税の調査における暗号資産取引に関する実地調査の追徴税額は、前年比31.4%増の46億円に達しています。国税当局は、銀行口座の入出金履歴だけでなく、インターネット上の取引データや海外口座との送金記録を高度に分析しており、「ネット上の資産だからバレない」という考えは通用しない時代になっています。
所得税の調査で「多額の暗号資産を保有している」と把握された個人が亡くなった場合、そのデータは当然相続税の調査にも引き継がれます。そのため、所得税での追徴増は、そのまま将来の相続税における申告漏れリスクの増大を意味しています。

 

3.デジタル資産特有の申告漏れリスク

デジタル資産には、主に以下の3つの落とし穴があります。

①ネット銀行・ネット証券
紙の通帳が発行されないため、遺族が口座の存在自体に気づかないケースが多発しています。

②暗号資産
取引所(交換業者)だけでなく、個人ウォレット(メタマスク等)で管理している場合、スマホのロックが解除できなければ残高確認すら困難です。

③ポイント・電子マネー
1ポイント=1円として換算される高額なポイント残高や、スマホ決済アプリのチャージ残高も、厳密には相続財産に含まれます。

 

4.調査官はここを見ている

実地調査において、調査官は被相続人の過去数年分の銀行口座を精査します。そこで、「特定のネット証券への送金」や「暗号資産交換業者への振込履歴」が見つかれば、徹底的な追及が行われます。もし意図的に隠蔽したと判断されれば、本来の税金に加えて、最大40%という極めて重い「重加算税」が課される可能性もあります。

最近では、AI(人工知能)を活用した申告データの分析も進んでおり、過去の所得水準と比較して「手元にあるはずの資産が少なすぎる」といった矛盾から調査対象に選定されるケースも珍しくありません。

 

5.最悪のケースを避けるために

税務調査の結果、誰も把握してないデジタル金融資産に課税され、多額の相続税を負担することになり、かつ、デジタル金融資産はIDもパスワードも分からないから、資金化できないという最悪のケースも起こり得ます。

そうならない為にも、ネット銀行、証券会社、暗号資産交換業者、電子マネーサービス名などの保有する金融商品の種類、それぞれの連絡先、ID、パスワードなどの情報を一元管理し、信頼のおける家族・親族に伝えておく、遺言書に遺すなど、デジタル金融資産を「見える化」しておくことが重要です。


溝口 貴裕(所長・パートナー税理士)

登録番号第号122251

主な担当先の業種: 医科クリニック/介護/飲食/卸・小売
得意な分野: 一般税務/創業支援

税理士法人アップパートナーズ
佐賀伊万里オフィス