2025.04.02更新
相続人がいない遺産の国庫帰属とは?
2025.04.16更新
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
国税庁が公表した2023年分の「相続税の申告事績」によると、相続の発生件数157万6016件の内の15万5740件(約9.9%)、相続税の申告書が提出されていました。
これは、2023年にお亡くなりになった方の約10人に1人が相続税の申告対象になったということです。相続税を納税する相続人は33万9098人で、課税価格の総額は21兆6335億円、税額は3兆53億円。被相続人1人当りの課税価格は1億3891万円、税額は1930万円でした。
相続財産を種類別に見ると、現金・預金が7兆9633億円で最も多く、土地が7兆1425億円、有価証券が3兆8779億円、家屋が1兆1452億円、その他が2兆5817億円でした。
これだけ、より「身近な税」となった相続税ですが、当然、税務調査の件数も増加しています。国税庁が公表した2023年事務年度の「相続税の調査実績の概要」によると、2022年度事務年度比で17.8%増の2万7337件でした。
その中でも増加傾向にあるのが、「実地調査」ではなく、文書照会や電話、来所依頼などで納税者と接触を図る「簡易な接触」です。コロナ禍を経て、調査手法が大きく様変わりしており、2023年においては「実地調査」の2.2倍の調査件数となっていました。税務調査の現場にもAIを導入し、より効率的に調査対象者を抽出し、更に調査件数が増えることが予測されます。出来る対策は早めにとっておくことが肝心です。
相続対策で見落としがちな相続財産として、会社に対する貸付金(会社からすると役員借入金)があります。事業をやっているなかで、一時的に会社に資金を入れることはよくあるケースです。借りている側の会社も身内からの借入金なので資金繰りが良くなった時に返済すれば良いと考え、いつまでも残してしまいます。これが積もり積もってしまい、いざ相続が起きた時には、相続財産となってしまいます。
対策としてベターなのは、返済することですが、返す資金が必要となります。もし返済資金の目処がたたない場合は、債務免除をしてもらうのも手でしょう。
しかし、債務免除益となるので、繰越欠損金がある場合はいいですが、無い場合や利益が繰越欠損金を超過する場合などは、法人税が発生することになります。これを避けたい場合は、例えば事前に保険を活用して対策をとることも可能です。
今回は、見落としがちな相続財産として、役員借入金の対策について触れましたが、その他の相続財産も、事前の対策をとることで、相続税額を減らすことが可能です。
この春2月に、福岡天神の天神ビジネスセンター9階に相続・事業承継専門のオフィスも開設いたしました。
「身近な税」となった相続税、気になられる方は弊社にお気軽にご相談ください。
Takahiro Mizoguchi
税理士法人アップパートナーズ
佐賀伊万里オフィス