2025.02.18更新
税理士
税制改正大綱
個人所得課税
こんにちは。
福岡・佐賀・長崎の税理士法人グループ アップパートナーズです。
2024年12月20日に自由民主党が公表した「令和7年度税制改正大綱」では、個人所得課税に関して、主に以下の3つの重要な変更が提案されています。今回は、これらについてわかりやすく解説いたします。
これまで、所得税の計算において、原則として納税者が受けられる「基礎控除」は48万円、給与所得者が受けられる「給与所得控除」の最低保障額は55万円と定められていました。これらを合計すると103万円となり、いわゆる「103万円の壁」として知られていました。この壁を超えると、所得税が発生し、扶養控除の適用外となるため、多くのパートタイム労働者が収入を調整する要因となっていました。
今回の改正では、物価上昇や最低賃金の上昇に対応するため、基礎控除を58万円、給与所得控除の最低保障額を65万円にそれぞれ10万円引き上げ、合計で123万円とすることが検討されています。これにより、「103万円の壁」は「123万円の壁」へと引き上げられ、パートタイム労働者やアルバイト従業員がより多くの収入を得ても、税負担や扶養控除の適用に関する不利益を受けにくくなります。
現在、19歳から23歳未満の子どもを扶養している場合、親は「特定扶養控除」として63万円の控除を受けられます。 しかし、子どもの年収が103万円を超えると、この控除が適用されなくなります。新たに提案された「特定親族特別控除(仮称)」では、子どもの年収上限を150万円に引き上げ、さらに150万円を超える場合でも段階的に控除額が減少する仕組みを導入します。これにより、大学生や専門学校生などがアルバイトで一定の収入を得ても、親の税負担が急増することを防ぐことができます。
(下図を参照)
子育て世帯の経済的負担を軽減するため、生命保険料控除の適用範囲や控除額の拡充が検討されています。具体的な内容は今後の詳細発表を待つ必要がありますが、子育て中の家庭が生命保険に加入する際の税制上の優遇措置が強化される見込みです。
これらの改正は、物価上昇や最低賃金の上昇に対応し、労働者や子育て世帯の税負担を軽減することを目的としています。
特に、「103万円の壁」の引き上げは、多くのパートタイム労働者にとって収入増加の機会を広げるものとなります。これらの改正は、2025年(令和7年)分以後の所得税から適用される予定です。
なお、これらの改正内容は今後の国会審議や法案成立の過程で変更される可能性があります。最新の情報や詳細については、政府の公式発表や税務専門家の解説を参照してください。
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Haruka Minoda
税理士法人アップパートナーズ
福岡博多本部