2025.02.17更新
中居氏から端を発したフジテレビの騒動で、連日大賑わいです。最近は法律よりもネット経由での社会的制裁の方がはるかに怖いですね。フジテレビの幹部はどうもそのことを軽く考えていたのでしょう。でなければ、炎上必至の会見などやるはずがないです。
問題が起こった時に、誰がどのように対処するかはとても難しい問題ですが、逃げるような対応は虎(ネット世論)に背を向けるようなもので、火に油を注いでいるように見えました。
リーダーシップも変革期
話は変わりますが、私は学生から急遽社長になりました。会社の経営などはわからない事だらけで、引き継いだ時はマネジメントやリーダーシップに関する本を読み漁りました。
1番衝撃的だったのはドラッカー博士の著書でして、経営者は経営を行うプロフェッショナルであるという考え方です。現場での率先垂範しか頭になかったので、ハンマーで頭を打たれたような感覚でした。バブルが崩壊してからは特に、アメリカ型の経営理論がどんどん入ってきて、経営者はマーケティングやマネジメントが1番の仕事という考え方はかなり広まりました。
しかし、それも最近は少し変わってきているように思います。経営戦略に長けたプロ経営者がCEOに抜擢され、失敗するケースが目立ってきたからです。
昨今だと残念ながら資生堂の魚谷氏がそうでしょうか。マーケティングのプロであり、一時的には驚異的な躍進を遂げましたが、中国市場での失速が響いて退任することになりました。少し前だと、マクドナルドの原田泳幸氏も一時的に成功したものの、結局10年で引責退任しています。
実は、プロ経営者による経営が必ずしも上手くいかないことを予言していた本があります。The Leadership Management(2003年出版)です。
ここでは失敗の典型として、ゼロックス社が描かれています。現場を知らないトップが大本営発表を繰り返して、現場が混乱し、収益が壊滅的に悪化し、株価が10分の1になったという事です。逆に、苦境に喘いでいた中で、現場重視のトップ(ブラウン氏)を配置したEd’sは、短期間で役員たちの意識を前向きに変え、スタッフと対話を繰り返し、結果として11四半期連続で10%以上の利益成長を達成しました。
「経営者はマネジメントに特化し、現場にあまり口出しすべきではない」という考え方は今でもありますが、特に会社が危機に陥っている時は現場に精通した経営者だけが役に立つのだと思います。かくいう私も、今年はいつにも増して、特に若手を厳しく指導する予定です。
管理単位をどうするか?
しかし、組織が拡大していくと、現場は自ずと遠ざかりますし、今の技術を持ってしても、スタッフには伝言ゲームのように間違った情報が伝わったりもします。
私の拙い経験からすると、組織が10名を超えると以心伝心みたいなものは相当難しいです。30名を超えると社長1人で管理するのはほぼ不可能で、現場をマネジメントする幹部が必要になってきます。
弊社には340名のスタッフがいますが、いわゆるマネージャークラスが35名ほどいます。その中で、私が密に話をするボードメンバーが15名ほど。この比率は大体どの企業にも共通しているように思います。船井総研では 1 つの組織は7~10名が最適と言われていましたが、私もそのぐらいが1番理想的ではないかと思う次第です。
カルピスは原液でないとダメ
弊社のクライアントで残念ながら若くして亡くなられた社長がおられます。とても情熱的で素晴らしい方でした。その社長は、「経営においてカルピスは水で割ってはいけない。原液でないとダメだ!」と繰り返し仰っていたそうです。
経営は 能力<情熱 とよく言います。 まずは中心にいる社長が誰よりも熱く、濃くないとダメですよね。そしてその想いをいかに冷まさずに、薄めることなく幹部はもちろん、スタッフ一人一人に伝えられるか?
これは企業の永遠の課題だと思います。
PROFILE
Takuma Suga
代表社員税理士
菅 拓摩
はじめまして 福岡から長崎までわりと広域に活動している税理士です。 社員300名いますが、経営者としても、税理士としても修行中です。