
2026.06.01更新
失敗した人ほど成功する?
2026.06.15公開
若手の銀行員と話していると、「今、融資の審査で1番重要視しているのは、預金の額なんです」とのことでした。ということは、お金が必要ないところにお金を貸すわけですから、銀行勤めも大変だと思いました。
さて、この所、「最近ちょっと経営が厳しくてですね……」というご相談が急に増えました。 実際、ここ1~2年で経営難に陥る中小企業は統計的にも増えています。理由は業種によって多少異なりますが、多くは共通しています。「原料が高い」「電気代も高い」「人が採れない」「採れても給与を上げないと辞めてしまう」…。
帝国データバンクの調査では、2025年は「物価高倒産」が高水準で推移しており、人件費上昇を背景にした倒産も増加しています。 日本商工会議所の調査では、7割を超える中小企業が「コスト増を十分に価格転嫁できていない」と回答しています。株価とは裏腹に、中小企業の苦しい状況が垣間見えます。
融資とリスケ
中小企業の資金調達は、ほぼ100%融資です。
IT系のスタートアップ企業のように、「大型の資本調達に成功しました」というのはごく一部です。 多くの企業は、融資によって経営を支えています。だから私は、「借金=悪」という考え方は少しも持っていません。必要な時に資金を確保しておくことは、経営者の重要な仕事です。
そして意外と知られていませんが、借入には調整機能があります。
業績が悪化した際、金融機関へ相談し、元本返済を一定期間止めてもらう、あるいは減額してもらうこと。 いわゆる「リスケジュール(リスケ)」です。これを「恥だ」と思う経営者の方もおられますが、全くそんなことはありません。むしろ、苦しい時にきちんと相談し、会社を生かす判断をすることは立派な経営です。実際、金融機関は95%以上のケースでリスケに応じています。
また、世の中には、公表されていないだけで「10年以上元本返済をしていない会社」も普通に存在します。 さらに言えば、リスケをきっかけに復活した会社も少なくありません。ある若手社長はリスケによって資金繰りを安定させ、その期間中に積極的に若手採用を進め、社内体制を刷新しました。 当初は周囲から「こんな状況で人を増やすのか」と言われたそうですし、私も驚きましたが、数年後に過去最高益を達成し、正常返済へ戻っています。
諦めない判断
もちろん一方で、赤字部門からの撤退を決断できず、赤字を積み上げ続けてしまう企業があるのも事実です。経営相談を受けていると、「これはもうやめた方がいい」と思うケースも多々あります。ですが難しいのは、諦めなかったことが成功につながった会社も存在することです。「あの時やめなくて良かったですね」と笑って話せる会社もあります。だからこそ、アドバイスをする側も非常に難しいです。
事業の将来性は数字だけでは測れないものがありますし、経営者自身の覚悟や執念が未来を変えることはよくあります。
コロナショックもそうでしたし、リーマンショックの時などは、売上が突然90%近く落ちた会社がありました。あの時、生き残った会社には共通点があります。それは、十分な資金を持っていたことです。
そして、コロナやリーマンショックのような非常時には、政府も特別保証制度を作り、補助金や助成金などの支援策を用意してきました。 つまり、銀行に限らず、社会全体として「会社を潰さない方向」で動くことが多いわけです。
一時的に赤字でも資金と時間を確保できれば、立て直せるケースは少なくありません。以前は、手形不渡りによる突然の連鎖倒産も多くありました。しかし現在は手形取引も減少し、いわゆる外圧的な倒産は少なくなっています。だからこそ最後に会社を閉じる理由は、資金だけではなく、「経営者が未来を諦めた時」なのだと思います。
もちろん、それが正しい場合もあります。 無理な延命を推奨したいわけではありません。ただ、「もう無理だ」と思った瞬間に、人も組織も急激に弱くなるのは事実です。
逆に、経営者が「まだやれる」と前を向いている会社には、不思議と周囲が力を貸してくれます。
私は、クライアントの皆さまには普段から、
この3つを意識していただきたいと思っています。
弊社としても、資金繰りや財務改善、金融機関対応などを通じて、少しでも経営者の皆さまのお役に立てれば嬉しい限りです。
経営は、諦めたら終わりです。逆に言えば、諦めない限り、打てる手は案外たくさんあります。
PROFILE
Takuma Suga
代表社員税理士
菅 拓摩
はじめまして 福岡から長崎までわりと広域に活動している税理士です。 社員300名いますが、経営者としても、税理士としても修行中です。